移住と除染
2011-11-23


この間、放射性セシウムを積極的に吸着する、いくつかの物質が提案されていますが、それらは例外なく、植物にとって欠くことの出来ない栄養素であるカリウムも吸着してしまいます。生態系の中から、放射性セシウムだけを抜き取ることは、ほぼ不可能といってよいのです。

農地は森林よりは除染できる可能性がありますが、それでも困難が付きまといます。農地の汚染は、作元を通して内部被ばくに直接つながります。きわめて深刻な問題です。
農地から放射性セシウムを化学的に除去しようとすると、必ず栄養分のカリウムも失われてしまうのは、森林の場合と一緒。今のところ、表土と、ある程度深いところの土を入れ替えてしまうのが有効とされていますが、大変な労力を伴う上に、土質が変わってしまいます。
チェルノブイリでは、最初、農地の土を丸ごと入れ替えることを考えましたが、あまりに広すぎて断念。今は、カリウムを撒いて、作物が吸収する射性セシウムの濃度を相対的に下げる方法が中心になっているようです。
何十年もかけて作ってきた豊かな土を放射性物質によって汚されてしまった農家の悔しさを思うと、涙が出てきます。

●福島県以外のホットスポットに関して
首都圏でも、千葉県柏市や埼玉県三郷市など、放射性物質のホットスポットが見つかっています。
除染が難しい森林が少ない地域なので、やる気になれば、徹底的に除染を進めることができると思います。汚染土壌の除去、屋根やアスファルト路面の洗浄などです。場合によっては、街路樹や植栽を撤去・植え替えする必要もあるかも知れません。
一方で、群馬県などには、山間部にもホットスポットがあります。高濃度に汚染された森林をどうするのか… 原発至近エリアと同じ問題があります。
悲しいかな、数十年間、立ち入り禁止にすべき森があります。

●自衛隊を全力動員せよ!
東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が、国の内部被ばくや除染に対する対応を鋭く批判したのは、7月30日のことでした。
この日の児玉発言の中に、「ただちに現地に除染研究センターを作って、実際に何十兆円という国費をかかるのを、今のままだと利権がらみの公共事業になりかねない危惧を私はすごくもっております」というものがあります。除染が利権がらみのビジネスになることを警戒した発言です。
児玉教授は、土壌汚染に関する様々な技術を持つ民間企業の力を結集させるべきと言っています。それ自体は正しいと思うのですが、ハイテク技術を総動員したとしても、除染の現場は人海戦術になることは目に見えています。
なぜ、ここに自衛隊を動員しないのか?給料は税金で払っているのですから、支出は大きく抑えられます。
いずれにしても、自衛隊をフルに活用すれば、除染の利権化を防ぐことができ、費用全体を大きく抑えることができるはずです。

語弊を恐れずに言うなら、私たちは、東京電力から「汚い爆弾」による攻撃を受けた状態にあります。
核兵器を製造する能力を持たない国や組織が、放射性物質を手に入れた場合、それを敵国に撒き散らすだけで、大きな被害を与えられます。これを「汚い爆弾」と呼ぶのです。
福島第1という「汚い爆弾」は、セシウム137だけでも、広島原爆168個分を撒き散らしています。
戦争被害にも匹敵する状況。自衛隊の全力動員は、間違っていないはずです。日本には、陸海空合わせてで約25万人の自衛隊員がいます。


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