昨日から東京では雪がちらついてます。この雪から、ヨウ素131が検出されたとして、一部で、ちょっと騒ぎになっています。
ご存じ通り、ヨウ素131の半減期は8日ですから、福島第1で再臨界が起きていない限り、事故発生から300日以上経った時点で検出されるのは変だからです。
もちろん、放射性物質の漏出は依然として続いていますが、あらたなヨウ素131の生成は起きていないはずですから。溶融した炉心ですら、ほとんどヨウ素131はなくなっているでしょう。「再臨界は起きていない」という、東電と国の発表が真実だという前提ですが。
さて、雪からのヨウ素131ですが、発信元は、
このブログです。発信者も「皆様はどのように思われますか??」としていますので、若干の疑問は抱かれているようです。
この問題を考えるに当たって、そもそも、どうやって核種を特定しているのかから考えていきましょう。
簡単に言えば、放出されるガンマ線が持つエネルギーの大きさを計測します。核種によって、出てくるガンマ線の波長が違うということは、ご存じの方が多いと思います。ガンマ線のような電磁波では、波長とエネルギーは反比例しますので、ガンマ線のエネルギーも核種によって異なるのです。
以下に、主な核種が出すガンマ線のエネルギーと波長を示します。参考にしたのは、
日本原子力研究開発機構が公表しているデータです。
まず、黄色でマークしたところに注目して欲しいのですが、ヨウ素131と鉛214が、似た波長のガンマ線を出すことが分かります。
ヨウ素131が3.40ピコメートルで、鉛214が3.52ピコメートルです。これを見分けるのは、厳密な測定が可能なゲルマニウム半導体検出器でなければ難しいとされています。
断定はできませんが、今回の雪からのヨウ素131は、鉛214を誤認識した可能性があります(紫でマークしあるセシウム134の2.05ピコメールとビスマス214の20.4ピコメールも、誤認されやすい例です)。
じゃ、鉛214はあってよいのか?ということになるのですが、これは岩盤や土の中に自然に存在するウラン238を出発点とするウラン系列の放射性物質です。
ウラン238は15種類以上の放射性物質を経由して、最後は鉛206で安定します。この崩壊系列をウラン系列(別名ラジウム系列)と呼びます。
ウラン系列の中で、特に注目しなくてはいけないのがラドン222(半減期3.8日)。系列中で、唯一、常温で気体として存在します。それまで岩盤の中にあったものが、ラドン222になって、はじめて大気中に出てくるわけです。
ラドン222の次がポロニウム218(半減期3.1分)、その次が鉛214(半減期26.8分)になります。ポロニウム218も鉛214も、固体で存在します(大気中では、チリなどに付いている状態だと思われます)。
ウラン鉱山の近くなどでは、ラドン222を中心とするウラン系列の放射性物質による被ばくが、大きな被ばく被害をもたらしている例(鳥取岡山県境の人形峠やアメリカのアリゾナ州)がありますが、一般には、自然放射線として受け入れざるを得ないものです。
さて、ヨウ素131と鉛214は、ゲルマニウム半導体検出器でないと見分けられないのでしょうか?
実は、そうでもありません。ポロニウム218も鉛214も、半減期がとても短い放射性元素です。ということは、試料の中に、あらたにラドン222が入らないようにすれば、鉛214ならば、30分以上待てば、量がかなり減ります。ただ、気体であるラドン222の侵入を止めるのですから、完全に大気から遮断された環境で、測定をする必要がありますが。
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