「どうにも腑に落ちない水素発生」の参考資料として、チェルノブイリと福島第1の事故を「制御不能に陥った核燃料の量」という視点から比較した一覧表をアップします。
福島第1は沸騰水型、チェルノブイリは黒鉛減速沸騰水型と炉の形式が違うので、チェルノブイリの炉心にあった核燃料(燃料集合体)の量を福島第1と同じ沸騰水型に換算してあります。
「制御不能に陥った核燃料の量」を燃料集合体の数で見ると、チェルノブイリ699本に対して福島第1は4604本。実に6.6倍。この観点からすれば、福島第1は、間違いなく人類史上最悪の事故です。
チェルノブイリでは、燃料集合体699本分すべての核燃料がメルトダウン。水蒸気爆発で原子炉本体が破壊されたので、溶岩のように溶けた核燃料が、何の覆いもなく環境中にさらされることになりました。
福島第1で、炉心にあった核燃料の何パーセントがメルトダウンしたのかは、「1号機では7割程度が溶融」とされていますが、全貌はいまだ明らかになっていません。
今のところ福島第1からの放射性物質の漏出量が、チェルノブイリに比べて少ないとされているのは、破損した圧力容器と格納容器が、割れた卵の殻のような状態で、核燃料を辛うじて覆っているからです。
危機は脱したのか?
何度か問われてきた、この問に対して、「冷却水の循環が止まれば、ふたたびメルトダウンが起きたり、臨界に陥る可能性もある」という警鐘は、当ブログだけでなく、多くの人たちが発してきました。
それに加えて、「水素発生・窒素注入」の問題が明らかになったのです。窒素注入が止まれば、30〜50時間で水素爆発が起きる。今度吹き飛ぶのは、圧力容器と格納容器です。
いまだ、私たちは、綱渡りの細い綱の上を歩かされているのです。
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