先日公開した『外部被ばく線量計算機』ですが、自治体や報道機関が発表する「時間あたりの空間線量」から計算した場合、「年間の実効外部被ばく線量」が少なめに出ることが判明しました。原因は、当方が原子力百科事典
ATOMICAのデータに全面的に依拠したためです。ATOMICAと、現行広く行われている計算法のどちらが正しいかは、考え方の違いなので、正確には判断できません。ただ、いろいろな数値が出て、混乱するのは問題なので、当サイト配布の『外部被ばく線量計算機』の設定条件を「現行広く行われている計算法」に近づけました。ただ、全ての市町村がまったく同じ計算法を採用しているわけではありませんので、若干のズレが生じることはあります。
外部被ばく線量計算機(改訂版)【ダウンロード】
ZIPファイルですので、解凍してください。エクセルになります。
●改訂点
1. 『実効線量換算係数』を1にしました。従って、空間線量(空間中の線量)=実効線量(実際の外部被ばく線量)という前提になります。
2. 『大地と建物からの自然線量(屋外)』(バックグラウンド線量)を0.05μSv/hにしました。国連科学委員会「放射線の線源と影響」(1993)によると、日本における数値は、0.049μSv/hですが、現在、多くの自治体が0.05μSv/hを採用しているので、これに合わせました。
3. 2に基づいて、『大地と建物からの自然被ばく(年間実効線量)』を計算し直し、438μSv/yとしました。
4. 屋外活動時間を8時間に設定しました。多くの自治体が採用している前提条件だからです。
●計算のもとになっている考え方(数値以外は変更無し)
●ご留意頂きたい点
1. 『屋外・屋内の実測値から』の白セル内には、計測器が指した数値そのものを入力してください。自動的にバックグラウンド線量を引いて、上乗せ分(要するに福島第1の影響分)の年間実効外部被ばく線量が算出されます。
2. 『自治体などの発表値から』の白セルに入れる数字は、「発表された実測値」です。もし、「上乗せ分」で発表されている場合は、自然放射線の分の0.05μSv/hを加えて入力してください。
●自治体や報道機関に対して
要らぬ混乱を避けるために、発表する線量が、「実測値」なのか、「自然放射線の分を差し引いた上乗せ分の実効線量」なのかを常に明示するようお願いしたいです。
●ありそうな質問に対して
Q1. どうして、全ての放射線からの被ばく量ではなく、自然放射線の分を差し引いた値を計算するのですか?
ICRPの「年間1ミリシーベルト以下」などの基準が、すべて、自然放射線に対する「上乗せ分」で決められているからです。この背景には、世界的に見ると地域によって、自然放射線の量が異なるという理由があります。日本でも、本当は場所によって若干異なるのですが、現在は、全国平均値の0.05μSv/hを使用している自治体がほとんです。
Q2. 『大地と建物からの自然線量』が、屋外と屋内で変わらないのはなぜですか?
自然から来るガンマ線は、ほとんどが土や岩盤、植物に含まれる放射性物質が線源です。ちょっと考えると、屋外の方が小さくなりそうですが、事実は逆です。
国連科学委員会の報告によると、多くの国で、屋内の方が自然線量が高くなっています。これは、建材に使われている石やコンクリートに含まれる放射性物質(ルビジウム87・ウラン系列核種・トリウム系列核種など)が影響しているためです。
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