破綻した核燃料サイクル
2011-11-27


どうやら、高速増殖炉『もんじゅ』が廃炉になりそうです。

『もんじゅ:廃炉含め検討…細野原発事故相「来年判断」』【毎日新聞】

細野豪志原発事故担当相は、「一つの曲がり角に来ている。何らかの判断を来年はしなければならない」と述べています。
グズグズしている必要はありません。直ちに廃炉プロセスに入るべきです。すぐに始めたって、10年以上はかかるのですから。

高速増殖炉は、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出して再利用するというもの。再処理工場と並ぶ、いわば「夢の核燃料サイクル」の中核とも言うべきものです。事実上のもんじゅの廃炉決定。やっと、国が核燃料サイクルの破綻を認めた形です。

あまり大ニュースにはなりませんでしたが、もう一つ、核燃料サイクルがらみのニュースがありました。

『核燃:ロシアの再処理提案文書を隠蔽 「六ケ所」の妨げと』【毎日新聞

2002年に、ロシアから日本に対して行われた使用済み核燃料の受け入れ&再処理の申し出が、資源エネルギー庁の一部幹部によって握りつぶされていたのです。
当時、六ヶ所村再処理工場はトラブル続発。高コストも問題視されていました。記事の中にあるエネ庁幹部の「極秘だが使用済み核燃料をロシアに持って行く手がある。しかしそれでは六ケ所が動かなくなる」という発言が、すべてを物語っています。
9年前、核燃料サイクルそのものが成立しなくなる可能性を当事者たちは感じとっていたのです。ですから、汚い手を使ってまでも、情報を隠蔽しました。
なぜ?
核燃料サイクルがなくなると、自分の出世がなくなるからです。天秤の片方の皿に乗っているのは、私たちの健康と安全。反対側の天秤皿には官僚たちの出世。秤を操作しているのは官僚たち。このことに気が付かなかった私たちにも、少し責任があります。

では、幾つかのテーマに絞って、核燃料サイクルの話を進めましょう。

●核燃料サイクルの嘘
まず、核燃料サイクルの考え方を示す図をご覧ください。
禺画像]

あっちこっちの原発推進派の広報サイトにある核燃料サイクルの図と似ていますが、決定的に違うところがあります。原発と再処理工場から出る放射性排気と放射性廃液です。原発推進派は、ものの見事に、この点に目をつぶっています。
詳しく言えば、原発から出る放射性排気も問題なのですが、実は、再処理工場からは、同じ時間内に原発の1万倍もの放射性物質が出ます(主に廃液)。

原子炉も無いのになぜ?と思われる方も多いかと思いますので解説しましょう。
再処理の過程では、使用済み核燃料を硝酸に溶かす必要があります。この溶液からプルトニウムとウランを抽出したあと、残りを高レベル放射性廃棄物としてガラス固化体に固めるのですが、すべてをガラス化することは技術的にも、コスト的にも、不可能なのです。
残った放射性廃液はどこへ?
海に流します。現在、再処理をビジネスとして行っているのは、フランスのラ・アーグとイギリスのセラフィールドにある再処理工場。どちらも、放射性廃液を海に流して、海洋汚染が大きな問題になっています。六ヶ所村も同じことをしようとしています。いや、せざるを得ないのです。再処理をする限りは。

放射性廃棄物を海に棄てておいて、何が核燃料サイクルなのでしょうか!?本来、○○サイクルと言ったら、閉鎖系でなくはいけません。「ゼロ・エミッション=排出物無し」です。
再処理工場から放射性廃液が大量に出る。核燃料サイクルには、根本的な嘘が隠されています。

●高速増殖炉の危険性

続きを読む

[原子力の仕組み]
[世の中と原子力]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット