「NNSA(アメリカ国家核安全保障局)による大気中のダスト分析データ」を読む(改訂版)
2011-12-05


先に公開した<「NNSA(National Nuclear Security Administration:アメリカ国家核安全保障局)による大気中のダスト分析のデータ」を読む(ストロンチウムを甘く見てはいけない)>に関して、一部の検出地点におけるストロンチウムの数値に間違いがありました。混乱を招いたことをお詫び申し上げます。
改訂版を書き上げましたので、ここに公開いたします。


福島第1から漏出した放射性物質の種類は、数百種類とも1000種類以上とも言われています。主な31核種に関しては、原子力・安全保安院から試算値が発表されています。

放射性物質放出量データ』【原子力・安全保安院】

3.11から9か月が経とうとしています。
内部被ばくが大きな問題としてクローズアップされる中、事故直後に、原発至近に暮らす人々はもとより、私たち東北・関東に暮らす人間は、いったいどの程度の放射性物質を呼吸によって体内に取り込んだ可能性があるのか… あるいは、あの時期、どれだけの放射性物質が空気中に漂っていて、それが地面に落ち植物などに吸収され、内部被ばくに、どうつながっていくのか… 福島第1から出た放射性物質の核種別の量は、上記の通り、一応、明らかにされているのですが、その行き先は、放射性セシウム以外は、まともに追跡されていないのが現状です。
それを知るためには、事故直後に大気中にあった放射性物質の濃度が鍵になります。対応が後手後手に回ったため、日本政府は、それを調べていないのか、あるいは隠しているのかは分かりませんが、いまだに詳細なデータは発表されていません。

一方、アメリカの政府機関が、福島県内や茨城県、東京都内などで、詳細なサンプリング調査を実施し、データを公開していたことが判明しました。
NNSA(National Nuclear Security Administration:アメリカ国家核安全保障局)による大気中のダストを分析したデータです。

7000件ものサンプリングデータがあり、アメリカ政府および米軍が、福島第1から飛来する放射性物質に対して、きわめて神経質になっていたことが伺えます。

NNSAによる大気中ダスト分析:元データ

上記のページから7000件分のCSVファイルが、一気にダウンロードできます。
ヨウ素・セシウム・ストロンチウム・テルル・ネプツニウムなどが検出されています。
GPSのデータが付いているので、計測場所も正確に分かります。東京港区のアメリカ大使館や各地の米軍基地をはじめ、担当者の自宅と思われる場所や、高速道路のサービスエリアやドライブインレストランの駐車場と思える場所もあります。
米軍が、これだけ自由に日本国内を動き回っていたのか、と気味悪く感じる部分もありますが、データが全面公開されているので、今回はそのことに噛みつくのはやめましょう。

以下は、特に目立つデータを抽出した一覧です。

「NNSA(アメリカ国家核安全保障局)による大気中のダスト分析データ」より

では、項目や核種に分けて、解説を試みます。

●検出結果の単位について
NNSAのデータは、基本的に、マイクロキュリー/ミリリットルという単位で記されているので、これを<1マイクロキュリー/ミリリットル=3.7×(10の10乗)ベクレル/立方メートル>という換算式で、ベクレル/立方メートルに換算しました。
元データのごく一部(7000件の内の12件)だけが、単位が違っていて、単なるマイクロキュリーになっていました(これが誤報の元でした)。これもサンプルの体積で割った上で換算し、ベクレル/立方メートルにしてあります。

●当面の基準値

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